澄んだ青空に、心地よい風。爽快な初夏の天候とは裏腹に、気分がすぐれない…。ゴールデンウィーク明けから梅雨入りに差しかかるこの時期に、元気がなくなったり、原因不明の体調不良を感じているようなら、いわゆる五月病かもしれません。

五月病は正式な病名ではありませんが、誰がなってもおかしくない、精神的な症状の総称です。4月に進学、就職、部署移動などで環境が大きく変わるなか、新しい環境にうまく適応できずにストレス反応があらわれ、うつ状態になる精神的症状を指します。

医学用語では「適応障害」という病名で、じつは、5月や6月だけではなく、環境に応じて年中発生するものです。

適応障害(五月病)のストレス要因は、新しい環境とそれによって引きおこされる不快な症状。ストレッサーを取り除くことが何よりの解消策ですが、新しい環境(職場や学校など)を変えることは、そう簡単にできることではありません。

かといって、ストレス要因を取り除くことができぬまま放置すると、出社(登校)できなくなったり、外出そのものができなくなります。そうした状態がさらにつづくと、生きていること自体が辛くなるなど、精神症状が悪化する恐れもあります。日常的に簡単に取り入れられる方法で、早目のストレスコーピング(ストレス対応)が緊要です。

うつ症状の軽減については数多くの研究がありますが、最新の研究で、ヨガがうつ症状の緩和に有効であることが明らかになりました。

Journal of Alternative and Complementary Medicine(2017年3月)掲載の、ハーバード医科大学院、ボストン医療センターなどの研究によると、中等度から重度のうつ病患者32人がヨガクラスに通ったところ、12週間後には、うつ病の病状を診断する「ベックうつ病調査表」の採点結果が下がった(うつ症状が改善した)といいます。

ヨガは有酸素運動とは異なりますが、体に多くのプラス効果があることが確認されています。また、ヨガの呼吸法は、精神を安定させる働きをもつホルモン、セロトニンの産生をコントロールするのに役立つことが指摘されています。

Translational Psychiatry に掲載されたラドガーズの研究では、ウォーキングなどの有酸素運動と瞑想を組み合わせ、うつ症状の劇的な改善を確認しています。この研究の参加者は、週に2回、30分の瞑想後に30分間の有酸素運動を8週間おこないました。すると不安感などに苛まれることもなくなり、うつ症状が40%も軽減したといいます。

運動そのものが気分の高揚に直接影響をもたらし、うつ症状を改善することも、さまざまな研究で確かめられています。ヨガやウォーキング、瞑想や呼吸法などは費用がかからず、いつでもどこでもおこなうことができます。

「気分の落ち込み」(抑うつ気分)、「何事にも興味が持てず楽しめない」(興味・喜びの喪失)、「睡眠をとれない、眠りが浅い」などが2週間つづくようなら、対策が必要といわれています。

ストレッサーが多い今の時期。2週間など待つこともなく、今すぐ行動を起こしましょう!。運動などをはじめるには、うってつけの心地よい季節ですよ。

参考サイト
ヨガで、うつ症状を軽減
エクササイズと瞑想でうつ病が改善