野菜や果物の摂取量が多い人は健康的であるといわれ、アメリカやオーストラリア、ドイツなどでは、「毎日、野菜3皿分+果物2皿分」がすすめられています。

事実、British Medical Journal Open(2017年3月)で発表されたオーストラリアのシドニー大学の研究によると、果物と野菜を毎日5~7皿食べていた女性は、0~1皿の女性に比べ、ストレスのリスクが23%も低かったといいます。

この研究は、45歳以上のオーストラリア人6万人以上を対象に、2006-2008年と、2010年の2つの時点での果物と野菜の消費量、生活習慣要因と心理的ストレスが測定されたものです。

野菜や果物に含まれる栄養素といえば、まず頭に浮かぶのが、ビタミン・ミネラルでしょう。人間が健康に生きていくうえで、必要不可欠な栄養素であるにもかかわらず、そのほとんどを、体の中でつくりだすことができません。つまり、かならず食事から補う必要があるのです。

人は心身にストレスを感じると、多種多様の神経伝達物質およびホルモン類が分泌され、ストレスと闘ったり、体を守る為の態勢が整えられます。

これら、ストレス応答の伝達物質をつくりだすためにも、一連のストレス反応にもビタミン・ミネラルが必須です。中でも、ビタミンC、ビタミンB群、カルシウム、亜鉛、マグネシウムなどは、ストレス時に多量に消費されます。ストレスに対し適切に体を守るには、ビタミン・ミネラルの補給が必要不可欠なのです。

さらに、野菜や果物から受けられる恩恵は、ビタミン・ミネラルだけではありません。

野菜や果物などの植物には、強い紫外線や、害虫の毒などから身を守るための防御システムが備わっています。「フィト(ファイト)栄養素」と総称される、植物の色や香りなどの成分です。

フィト栄養素は、数千種類~1万種類はあるといわれます。ポリフェノール・フラボノイド、カロテノイドなどに分類され、その多くが強力な抗酸化作用をもっています。

植物中で抗酸化物質として働いている物質は、人の体内でも同様の効果が期待できるため、フィト栄養素は植物由来の抗酸化栄養素とされるのです。

人の体内では、随時活性酸素は発生していますが、ストレス時にはエネルギー消費が増え、その分活性酸素の発生も増加します。さらに、抗ストレスホルモンをつくりだすときにも分解するときにも、飛びきり酸化力の強い活性酸素が発生します。野菜や果物から、抗酸化力の高いフィト栄養素をたっぷり補給することは、ストレスの害から体を守ることにつながります。

ホリスティック栄養学では、栄養素の摂取量を考えるとき、「個体差」を重視します。個人の体質、遺伝的要素、また、同じ人でもストレスの度合いなどにより、必要とする栄養素の量は大きく異なります。とくに、ビタミン・ミネラルなどの水溶性栄養素は、人や状況によって100倍もの差があるといわれています。

ストレスを感じているなら、1日5皿といわずに、それ以上の野菜や果物を食べたいもの。そんなにたくさんは食べられない、と思う人もいるかもしれませんが、そんな人には、生ジュースがおすすめです。

かならずミキサーではなく、ジューサー(低速回転のスロージューサー)を使い、リンゴとニンジン以外の野菜と果物はミックスせずにつくることが、コツ。ジュースにすれば、とりたい栄養素はそのまま、コップ1杯でびっくりするほどの量の野菜や果物を摂取できます。

野菜や果物をそのまま濃縮したサプリメントなども上手に役立てながら、自然の恵みの恩恵にあずかって、ストレスから体を守りましょう。

シドニー大学最新研究:毎日3~4皿の野菜は、心理的ストレスの軽減につながる
果物・野菜の消費と心理的ストレス