厚生労働省「平成26年患者調査」によると、うつ病など気分障害の総患者数は111万6千人、調査を開始して以来、過去最多となりました。前回調査の平成23年(95.8万人)に比べると、およそ16%の増加となっています。

年代別に見ると、トップは40代で全体の19.6%、以下順に、60代が全体の17.3%、50代が15.4%。また、男女比で見ると、女性の方が男性よりも1.6倍多いという結果が示されています。つまり、40代から60代の過渡期を迎える女性はうつ病のリスクが高く、メンタルヘルスのケアが必要不可欠であることがわかります。

うつ病とは無縁でいたい女性にとって、気になるデータがあります。

Journal of Nutrition(2016年7月)に掲載されたスペインのナバラ大学などの研究によると、ヨーグルト(低脂肪ではない)をよく食べている女性はうつ病になるリスクが低いという結果になりました。

うつ病ではない男女14,500人ほど(平均年齢37才)を対象に、食生活に関するアンケートを実施。プレバイオティクス(フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖)とヨーグルトの摂取量を調べ、うつ病の発症状況を調べました。

10年ほどの追跡調査をおこなったところ、追跡期間中に727件のうつ病が発生。ヨーグルトを食べる量が最も多かった(7食分/週以上)グループは、ヨーグルト摂取量が最も少なかった(0.5食分/週未満)グループに比べて、うつ病になるリスクが22%低くなっていました。※1食分は125g。

男女別に分析すると女性でのみ統計学的に有意で、女性だけに限ると34%のリスク低下を示したといいます。

なお、この研究では、プレバイオティクスとうつ病リスクの間に関係性はみられなかったとのことですが、プレバイオティクスについては、最新の研究データがあります。

“Frontiers in Behavioral Neuroscience” (2017年2月)に掲載されたコロラド大学の研究で、プレバイオティクスをとる習慣があると、有益な腸内細菌の繁殖が促進されて、ストレスを受けても睡眠リズムが乱れにくくなる可能性を示唆しました。

プレバイオティクスとは、ビフィズス菌など、腸内細菌叢のバランスを改善する微生物そのものを指すプロバイオティクスの働きを助けると定義されています。胃や小腸で消化されにくいオリゴ糖類や食物繊維は、プレバイオティクスの代表です。

ネズミを2群にわけておこなった研究によると、プレバイオティクスを数週間与えられていたグループは、ストレスを与えられても腸内細菌バランスの乱れがみられなかったとのこと。さらに、もう一方のグループに比べて睡眠リズムの回復がスムーズだったとしています。

不眠は、ストレスはもちろん、うつ病の代表的症状のひとつです。また、腸内細菌叢は神経伝達物質の分泌に大きくかかわり、中でも幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの正常な分泌は、うつ病予防に不可欠です。

ヨーグルトなどのプロバイオティクスと、プレバイオティクスを一緒に補給すること、または、それらが一つになっている食品や製剤のことを、シンバイオティクス(Synbiotics)とよび、新たな健康法として注目を集めています。いくつになってもイキイキ元気で過ごすため、食生活にうまくとりいれていきたいですね。

参考サイト:
ヨーグルトをよく食べる女性は鬱病になりにくい
“Jounal of Nutrition” (July 2016)
プレバイオティクスでストレスに強い体質になれる?
“Frontiers in Behavioral Neuroscience”(Feb. 2017)