「ホリスティック」という言葉を最近頻繁に耳にしたり、目にするようになりました。この言葉が使われるようになって、すでに30~40年たつのですが、明確な意味がつかみにくいこともあり、正しい理解の元に使われていないケースも多々あるようです。
そこで、「ホリスティック栄養学」についての話をはじめる前に、「そもそも、ホリスティックとは?」というところから、簡単にみていきましょう。
「ホリスティック」とは、「全体という意味をもち、ボディ(からだ)・マインド(心)・スピリット(精神/魂)を総括的に、とらえていく考え方です。もともと、ギリシャ語の「Holos(ホロス)」が語源で、「Whole (全体の)」「Health(健康)」、「Heal(癒える)「Holly(神聖な)」などを表すといわれています。
もともと、ホリスティックという言葉が使われはじめたのは、医療の現場でした。
現代医療(西洋医学)は人の体をパーツ、パーツで考え、体のどこかに問題がおこれば、病巣を探して切りとったり、症状を薬の力で抑えるなどの対処療法をおこなっていきます。
これに対してホリスティック医療は、体を「全体」としてとらえ、身体・心・精神/魂の3つが、それぞれが互いに影響しあっていることを視野に、体全体をベストの方向に導いていくことを目指していくのです。
当初、ホリスティック医療は現代医学を否定するような傾向にあったようですが、現在では、西洋医学と東洋医学の考え方を統合させ、人体をまるごと診る療法として発展しています。欧米では、60%近くの人たちが従来の医療ではなく、ホリスティック系を選択し、体が本来もっている自然治癒力を向上させることに目を向けているといわれます。
いまや日本でも、医療現場ばかりでなく、介護、農業、教育、健康、美容ほか、さまざまな分野で、ホリスティックの考え方をベースにした活動が活発に展開されています。
ホリスティック栄養学の特徴的ポイント
ホリスティック栄養学は、その名称が示すとおり、ホリスティックの考え方を基盤にした栄養学です。
私たちが、「からだ」「心」「精神/魂」という3つの側面で構成されていること、その3つが互いに依存して機能していること、それぞれのバランスとともに、全体的なバランスを保つことが必要であるということを前提に、からだ全体が、もっとも効率よく、オプティマル(最適)に機能するために、どのような食物(栄養素)を、どのように摂取していくべきかを、細胞レベル、DNA(遺伝子)レベルから考えていきます。
ホリスティック栄養学が従来の栄養学と大きく異なる特徴的なポイントをいくつかまとめてみましょう:
- 食品の側からではなく、人の側から、その人丸ごと(身体/マインド/魂)考える
- 個体差を重視する
- 健康はレベルで考え、オプティマル(最上の)ヘルスを目指す
- 栄養素のつまった食物をベースに
- 消化吸収を重視。何を食べるか以上に何を吸収できるかが問題
- 必要に応じて、良質サプリメントで補助
以上6つのポイントを、それぞれ詳しくみていきましょう。